ペトロ アンデレの兄 イエスの12弟子・12使徒

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ペトロ (アンデレの兄)

ペトロ(シモン・ペトロ/~64年頃)

ペトロの本名はシモン。ガリラヤ湖畔のベトサイダの出身です。イエスに弟子入りする前は漁師をしていました。イエスが最初に選んだ弟子の一人で、ぺトロという名はイエスが命名しました。

イエスの昇天後、ペトロは初代教会の指導者となり、ローマ・カトリックでは初代教皇となりました。その後、ペトロの後継者は「ローマ法王(※)」と呼ばれ、約2000年間、綿々と引き継がれてきています。

「初代教皇ペトロ」 Peter Paul Rubens 1610年~1612年製作<br />出典:en.wikipedia

「初代教皇ペトロ」 Peter Paul Rubens 1610年~1612年製作
出典:en.wikipedia

※「ローマ法王」と「ローマ教皇」と同じです。日本のマスコミ等では「ローマ法王」という呼称が使われていますが、日本のカトリック中央協議会は「ローマ教皇」の呼称を推奨しています。

※2014年4月現在のローマ教皇は、第267代のフランチェスコ1世です。


ペトロの弟アンデレがイエスを紹介

シモン(=ペトロ)は、弟アンデレの紹介により、イエスと出会いました。その日は、イエスとともに過ごし、イエスから「ペトロ」という呼称(ニックネーム)をもらいました。翌日、彼らは、イエスのもとから帰りました。

(=アンデレ)は、まず自分の兄弟シモンに会って、「わたしたちはメシアに出会った」と言った。そして、シモンをイエスのところに連れて行った。イエスは彼を見つめて、「あなたはヨハネの子シモンであるが、ケファ(=岩/ペトロ)と呼ぶことにする」と言われた。

新約聖書/ヨハネによる福音書1章41節~42節

※ペトロもアンデレも洗礼ヨハネの弟子でした。アンデレは、洗礼ヨハネを通して、イエスに出会いました。そして、兄のペトロをイエスのところに連れて行きました。イエスと最初に出会ったのはアンデレでしたが、イエスの12弟子の中では、兄のペトロが「一番弟子」の位置づけになっています。


大漁の奇跡

いつもの生活に戻ったシモン(ペトロ)とアンデレの兄弟は、ガリラヤ湖へ漁に出掛けました。その日は、一晩中働いても収穫はありませんでした。

イエスもガリラヤ湖に来ており、多くの人が、神の言葉を聞こうと、イエスのまわりにひしめき集まっていました。

ペトロとアンデレを見掛けたイエスは、彼らの舟に乗り込み、彼らに網を下ろすように命じます。ペトロはしぶしぶ従います。すると奇跡的な大漁となりました。

「奇跡の大漁」 Peter Paul Rubens 1618年~1619年製作<br />収蔵:ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

「奇跡の大漁」 Peter Paul Rubens 1618年~1619年製作
収蔵:ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。
イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。
そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。

新約聖書/ルカによる福音書5章1~7節
©日本聖書協会/新約聖書 新共同訳


人間をとる漁師に - イエスに弟子入り

またある日、シモン(ペトロ)とアンデレが漁をしているとき、イエスは湖岸を歩いておられました。イエスは彼らに向かって「私についてきなさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう」と言われました。彼らはすべてを捨てて、イエスのあとについていき、以後はイエスの弟子となり、イエスのもとにとどまるようになりました。

イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打っているのを御覧になった。彼らは漁師だった。イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。二人はすぐに網を捨てて従った。

新約聖書/マルコによる福音書1章16節~18節
©日本聖書協会/新約聖書 新共同訳


溺れそうになるペトロ - 湖上を歩く奇跡

湖に沈みかけ、イエスに助けられるペトロ

湖に沈みかけ、イエスに助けられるペトロ

イエスの弟子たちが、荒波の中で舟を進めていると、湖上をイエスが歩いていました。それを見たペトロは、自分にも命令して、湖上を歩き、イエスの元へ行かせてほしいと頼みました。そして、イエスが来るように命じ、ペトロは数歩だけ水の上を歩けたようですが、恐怖心を持った瞬間に、溺れかかり、イエスに助けられ、信仰が薄いと叱られました。

群衆を解散させてから、(イエスは)祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
ところが、(弟子たちが乗っている)舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた。
夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた。弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」すると、ペトロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」イエスが「来なさい」と言われたので、ペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、「主よ、助けてください」と叫んだ。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。
舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。

新約聖書/マタイによる福音書14章23節~33節

この物語は、ペトロがイエスに叱られるという落ちがあり、どことなくユーモアを感じるストーリーになっています。ペトロは、荒波で溺れそうになり「助けてください!」と叫んでいます。ペトロの大胆さと臆病さを読み取ることができ、人間らしさを感じる一場面だと思います。なお、この物語はさまざまな解釈がなされ、「信仰心」や「救い」、「イエスの復活」などをテーマとする説教の中で、引用されることが多いようです。

※イエスが湖上を歩く奇跡は、マタイ福音書だけに記録されている出来事です。


〔参考・引用〕日本聖書教会「新約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」