聖書と歴史の学習館

十二使徒中の第一人者シモン・ペトロ

Peter Paul Rubens 1610-1612 
01/05

漁師から初代教皇へ

ペトロの本名はシモンまたはシメオン(Simon/Simeon)。ガリラヤ湖畔のベトサイダの漁師出身。イエスが最初に選んだ弟子の一人で、ぺトロ(岩)という名を命名された。

イエスが処刑された後、ペトロは初代教会の指導者となり、ローマ・カトリックでは初代教皇(在位:~64頃)となった。パレスチナ・小アジア・ローマで伝道し、ローマ皇帝ネロの迫害により殉教したといわれている。

ペトロの後継者は「ローマ法王(※)」と呼ばれ、約2000年間、綿々と引き継がれている。

※日本のマスコミ等では「ローマ法王」という呼称が使われているが、日本のカトリック中央協議会は「ローマ教皇」の呼称を推奨している。

※2018年3月現在のローマ教皇は、第267代のフランチェスコ1世(Francesco I)。

02/05

洗礼ヨハネの弟子からイエスの弟子へ

ペトロは、洗礼ヨハネの弟子であった。信仰的な精神を持ち合わせていた人物であることがうかがえる。洗礼ヨハネがイエスを神の子(メシヤ)であることを認めると、アンデレはイエスに従うようになった。その日は、イエスとともに過ごした。

翌日、アンデレが兄ペトロにそのことを話し、ペトロをイエスのもとに連れて行った。イエスから「ペトロ」という名をもらった。

その後、彼らは漁師生活に戻ったが、ガリラヤ湖畔でイエスに会い、大漁の奇跡を目の当たりにした。

※イエスに先に出会ったのはアンデレであったが、12弟子の中では、兄のペトロが「一番弟子」の立場となった。

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New Testament

(=アンデレ)は、まず自分の兄弟シモンに会って、「わたしたちはメシアに出会った」と言った。そして、シモンをイエスのところに連れて行った。イエスは彼を見つめて、「あなたはヨハネの子シモンであるが、ケファ(=岩/ペトロ)と呼ぶことにする」と言われた。

新約聖書/ヨハネによる福音書1章41節~42節
03/05

大漁の奇跡

大漁の奇跡

The Miraculous Draught of Fishes, Peter Paul Rubens, 1618 - 1619

ある日、シモン(ペトロ)とアンデレの兄弟は、ガリラヤ湖へ漁に出掛けた。しかし、その日は、一晩中働いても収穫はなかった。イエスもガリラヤ湖に来ており、うわさを聞いた多くの人が、神の言葉を聞こうと、イエスのまわりにひしめき集まっていた。

ペトロとアンデレを見掛けたイエスは、彼らの舟に乗り込み、彼らに網を下ろすように命じた。ペトロはしぶしぶ従うと、奇跡的な大漁となった。

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イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。
イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。
そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。

新約聖書/ルカによる福音書5章1~7節
04/05

人間をとる漁師に - イエスに弟子入り

またある日、シモン(ペトロ)とアンデレの兄弟が漁をしているとき、イエスは湖岸を歩いておられた。イエスは彼らに向かって「私についてきなさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう」と言われた。彼らはすべてを捨てて、イエスの後について行った。その後は、弟子となり、行動を共にするようになった。

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イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打っているのを御覧になった。彼らは漁師だった。イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。二人はすぐに網を捨てて従った。

新約聖書/マルコによる福音書1章16節~18節
05/05

水の上を歩く奇跡

イエスの弟子たちが、荒波の中で舟を進めていると、湖上をイエスが歩いていた。それを見たペトロは、自分にも命令して、湖上を歩き、イエスの元へ行かせてほしいと頼んだ。そして、イエスが来るように命じたので、水の上を歩きはじめた。ペトロは数歩だけ水の上を歩けたが強風にあおられて、恐怖心を持った瞬間に溺れかかった。その後、イエスに助けられ、信仰が薄いと叱られた。

このマタイによる福音書の記録は、ペトロがイエスに叱られるというオチがあり、ユーモアを感じさせるようなストーリーになっている。ペトロは、荒波で溺れそうになり「助けてください!」と叫んでいる。ペトロの大胆さと臆病さを読み取ることができ、人間らしさを感じる一場面となっている。なお、この物語はさまざまな解釈がなされ、「信仰心」や「救い」、「イエスの復活」などをテーマとする説教の中で、引用されることが多い。

※イエスが湖上を歩く奇跡は、マタイ福音書だけに記録されている。

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群衆を解散させてから、(イエスは)祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
ところが、(弟子たちが乗っている)舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた。
夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた。弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」すると、ペトロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」イエスが「来なさい」と言われたので、ペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、「主よ、助けてください」と叫んだ。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。
舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。

新約聖書/マタイによる福音書14章23節~33節
〔出典・参考〕
日本聖書教会「旧約聖書」/創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」/en.wikipedia