聖書と歴史の学習館

天の国の鍵を授かり、初代教皇にペトロの活躍

聖ペトロへの天国の鍵の授与
ペルジーノ1480-82年頃 システィーナ礼拝堂
01/03

イエスがペトロを賞賛 - 天の国の鍵を授かる

ペトロがイエスに弟子入りしてから時が経ち、ペトロをはじめ、弟子たちの信仰も厚くなりかかってきた。イエスは弟子たちを試そうと、「私を誰と言うか」と質問した。ペトロは「あなたこそ、生ける神の子キリストです」と告白した。イエスは「この岩の上にわたしの教会を建てよう」、「あなたに天の国の鍵を授ける」と言って、ペトロを賞賛した。

これがキリスト教の教会の原点で、ここからキリスト教の教会が出発したといわれている。

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イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」
イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」

新約聖書/マタイによる福音書16章13節~19節
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2つに分かれる「岩」の解釈

マタイによる福音書16章13節~19節には、キリスト教会の原点が記録されている。ただし、イエスの言われた「この岩」の解釈が、カトリック教会とプロテスタント教会で分かれている。

カトリック教会は、「この岩」を人物としての「ペトロ」と解釈している。つまり、「イエスがペトロを初代教皇に任命した」と考え、ペトロを初代のローマの司教(教皇/法王)とみなしている。そして、代々の教皇がイエスからペトロに授けられた天の国の鍵を継承している。

※天国の鍵 … 一般的には「教皇の首位権」と解釈されている。

一方、プロテスタント教会は「この岩」をペトロの「信仰告白(=ペトロがイエスをメシアとして信じているという告白)」と解釈している。つまり、「イエスをメシアと信じる信仰の土台の上に教会が成り立っている」と解釈になる。

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ペトロの否認

最後の晩餐で、ペトロは、自分は決してイエスを見捨てないので、あてにしてほしいとイエスに伝えた。しかし、イエスに「あなたは今夜、鶏が鳴く前に三度わたしのことを知らないというだろう」と言われた。

イエスが逮捕され、大祭司カイアファの邸宅の牢に連れ込まれ、拷問を受けているとき、ペトロはなんとかイエスを助けようと中庭にまぎれ込んだ。

中庭でペトロは、3人の人物からイエスの弟子ではないかと問われるが、三度とも弟子であることを否認。三度目の否認をしたとき、鶏が鳴いた。ペトロは、イエスの言葉を思い出すと、中庭から外に走り出て、激しく泣いた。

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するとペトロが、「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」と言った。イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」ペトロは、「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」と言った。弟子たちも皆、同じように言った。

新約聖書/マタイによる福音書26章33節~35節
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ペトロは外にいて中庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言った。ペトロは皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言った。ペトロが門の方に行くと、ほかの女中が彼に目を留め、居合わせた人々に、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言った。そこで、ペトロは再び、「そんな人は知らない」と誓って打ち消した。しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペトロに言った。「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる。」そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。

するとすぐ、鶏が鳴いた。ペトロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。

新約聖書/マタイによる福音書26章69節~75節
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天使に救出されるペトロ

天使に解放されるペテロ

天使に解放される聖ペトロ
ホセ・デ・リベーラ 1639年
プラド美術館/スペイン

ペトロは初代教会の指導者となり、五旬祭(ペンテコステ)で聖霊が降ったとき、キリスト教最初の説教をエルサレムで行なった。その後も説教を続けたため、ヘロデ王(ヘロデ・アグリッパ一世)にたびたび逮捕された。あるときは、天使に牢獄から救い出されたこともあり、このときは、ペトロ本人も、ペトロのために祈っていた教会もたいへん驚いた。

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そのころ、ヘロデ王は教会のある人々に迫害の手を伸ばし、ヨハネの兄弟ヤコブを剣で殺した。そして、それがユダヤ人に喜ばれるのを見て、更にペトロをも捕らえようとした。それは、除酵祭の時期であった。
ヘロデはペトロを捕らえて牢に入れ、四人一組の兵士四組に引き渡して監視させた。過越祭の後で民衆の前に引き出すつもりであった。こうして、ペトロは牢に入れられていた。教会では彼のために熱心な祈りが神にささげられていた。
ヘロデがペトロを引き出そうとしていた日の前夜、ペトロは二本の鎖でつながれ、二人の兵士の間で眠っていた。番兵たちは戸口で牢を見張っていた。すると、主の天使がそばに立ち、光が牢の中を照らした。天使はペトロのわき腹をつついて起こし、「急いで起き上がりなさい」と言った。すると、鎖が彼の手から外れ落ちた。天使が、「帯を締め、履物を履きなさい」と言ったので、ペトロはそのとおりにした。また天使は、「上着を着て、ついて来なさい」と言った。
それで、ペトロは外に出てついて行ったが、天使のしていることが現実のこととは思われなかった。幻を見ているのだと思った。第一、第二の衛兵所を過ぎ、町に通じる鉄の門の所まで来ると、門がひとりでに開いたので、そこを出て、ある通りを進んで行くと、急に天使は離れ去った。
ペトロは我に返って言った。「今、初めて本当のことが分かった。主が天使を遣わして、ヘロデの手から、またユダヤ民衆のあらゆるもくろみから、わたしを救い出してくださったのだ。」

新約聖書/使徒言行録12章1節~11節
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鶏鳴教会

鶏鳴教会

ペトロが三度否認した現場に建てられた教会。エルサレムの南東部シオンの丘にある。教会内の地下には、イエスが最後の晩を過ごした牢獄が現存する。ここから総督ピラトの官邸に連れて行かれ、裁きを受けたといわれている。

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五旬祭

五旬祭

聖霊降臨

聖霊降臨と呼ばれる新約聖書にあるエピソードの1つ。クリスマス、イースターと並ぶキリスト教の三大祭の一つで「ペンテコステ」と呼ばれている。イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事を記念するキリスト教の祝祭日。教派により訳語は異なり、「聖霊降臨祭」などともいう。

〔参考・引用〕wikipedia
〔出典・参考〕
日本聖書教会「新約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」/河出書房新社「図説 イエス・キリスト 聖地の風を聞く」/光言社「日本と世界のやさしいキリスト教史(梅本憲二)」/ヤコブス・デ・ウォラギネ「黄金伝説」