聖書と歴史の学習館

メシヤのための基台の観点からみた信仰基台と実体基台

信仰基台と実体基台とは、神の天地創造において、人間にも創造主の立場で万物を主管することができる主人の権限を持たせるために神が人間に与えた責任分担です。神は、天地創造を人間にも加担させ、人間に創造主(神の子)としての立場を与えようとされたのです。

信仰基台は神を信じ、一定の期間、神のみ言を遵守すること、実体基台は信仰基台を造成した上で、神と合性一体化することです。これにより神の創造目的「三大祝福」のうち第一祝福「生育せよ(個性完成)」が成就されることになります。

なお、人間始祖の堕落より、信仰基台と実体基台は、蕩減条件が付与されるようになりました。

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天地創造摂理における人間始祖の信仰基台と実体基台

信仰基台と実体基台の造成目的は、神の創造目的の実現です。神の創造目的とは、神が人間始祖に与えた三大祝福であり、信仰基台と実体基台はそのうち第一祝福「生育せよ(個性完成/創造本性を持った人間)」を成就するための人間の責任分担です。 人間始祖(アダム)が、信仰基台を造成し、その基台の上で実体基台を造成することにより、み言の「完成実体」となり、第一祝福が成就されることになっていました。

人間始祖が神の第一祝福「生育せよ(個性完成)」を成就するためには、次の2つの条件が必要でした。

  1. 信仰基台を造成する
  2. 信仰基台を造成した基台の上で、実体基台を造成する

信仰基台

ここで、信仰基台を造成するためには、次の条件が必要です。

  1. ① 神の創造目的を実現するための人間始祖(アダム)
  2. ② 人間始祖が神のみ言を守る(信仰条件を立てる)
  3. ③ 人間始祖が成長期間を経る(数を完成させる)

端的に言えば、「神に創造された人間が、一定の期間、神のみ言を守りながら、成長する」ということになります。ここでみ言とは「善悪の果を食べてはならない」という規律(戒め)でした。

このように、信仰基台は、人間始祖(アダム)が一定の期間(蘇成・長成・完成の期間)において、神のみ言を遵守しながら、成長することにより造成されることになっていました。なお、一定の期間とは、成長期間のことで、これは数によって決定づけられていくため、成長期間は「数を完成する期間」といえます。

実体基台

次に実体基台を造成するとは、次の条件を立てることです。

  • 人間始祖が信仰基台を立てた基台の上で、神と合性一体化すること

神と合成一体化とは、心と体が一体化するように、神(心)と人間(体)が合性一体化すること(神の宮となること)です。人間の心には神が宿り、人間は神性を帯びるようになり、神のように完全になります。このような人間をみ言の「完成実体」といい、「創造本性を完成した人間」、「個性完成した人間」などと表現します。

このように、実体基台は、人間始祖(アダム)が、信仰基台を立てた基台の上で神と一体(心情の一体化)となることにより造成されることになっていました。

Divine Principle

このように、人間がそれ自身の責任分担を完遂して初めて完成されるように創造されたのは、人間が神も干渉できない責任分担を完遂することによって、神の創造性までも似るようにし、また、神の創造の偉業に加担させることによって、ちょうど創造主である神が人間を主管なさるそのごとくに、人間も創造主の立場で万物を主管することができる主人の権限をもつようにするためであった(創一・28)。人間が万物と違う点は、正にここにあるのである。

原理講論「創造原理(被造世界の創造過程とその成長期間)」

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人間始祖の堕落

神の本来の創造過程によって、人間始祖が信仰基台と実体基台を造成し、第一祝福「生育せよ(個性完成)」が実現されると、創造本性を完成した、み言の「完成実体」となり、神の主管下におかれるはずでした。同時に神と心情的に完全一体化し、互いに相通ずるようになり、喜怒哀楽を直ちにそれ自体のものとして感ずる(心情共有する)ようになるため、創造本然の人間は神のみ意に反するような犯罪行為や神が悲しむ行為は絶対にできないはずでした。

しかし、人間始祖が神のみ言(善悪の果を食べてはならない)を守ることができず、サタンと合性一体化してしまいました(人間の堕落)。これにより、人間は、原罪(サタンの血統)を持つようになり、サタンの主管化におかれ、サタンの宮となりました。人間の心にはサタンが宿り、人間は悪性(堕落性本性)を帯びるようになってしまいました。

堕落した人間が神の創造目的は人間始祖が立てるはずであった本来の信仰基台・実体基台の造成だけでは実現できなくなりました。原罪を取り除くことでサタンの血統から神の血統へ転換し、堕落性本性を脱いで創造本性を持たせるための摂理が必要となりました。


03/05

人類救援摂理のプロセス

人間始祖は成長期間の途中段階である長成期の完成級で、サタンと一体となって(血統的因縁を結んで)堕落してしまいました。これが人間始祖が犯した根源的な罪「原罪」です。サタンは原罪を根拠に人間を主管し、人間の所有権を主張しています。

堕落した人間を復帰(救援)するためには、サタンの主管下にある人間を、サタンから分立する必要があります。しかし、サタンは血統的な因縁【原罪】を根拠に人間の主管権(所有権)を主張します。このため、堕落人間がサタンを分立して、堕落以前の本然の人間として復帰するには、原罪を取り除かなければなりません。この原罪は、人間が、その真の父母として来られるメシヤを中心とした「重生」とよばれるプロセスを経て取り除くことができます。

復帰摂理(人類救援の摂理)

神が堕落した人間を復帰し、創造目的を完成させるために、創造本然の人間に復帰していく摂理を「復帰摂理」とよびます。

  1. 長成期の完成級まで復帰した型を備える(メシヤのための基台を造成する)
  2. メシヤを迎え、原罪を取り除き、アダムとエバの堕落以前の立場を復帰する
  3. 神の心情を中心としてメシヤと一体となり、人間始祖が堕落したために歩めなかった残された成長期間をメシヤに従って歩み、成長し、創造目的を完成する(完成実体となる)。

このプロセスのうち、1の「長成期の完成級まで復帰した型を備える(メシヤのための基台を造成する)」が、「信仰基台」を立て、その基台の上で「実体基台」造成することに相当します。

なお、復帰摂理は、神の創造目的を再び成就するための再創造の摂理であるため、どこまでも原理によって摂理されます。この原理を「復帰原理」といいます。

REASONING

重生とは

重生とは、外的、内的の両面において新しく生まれ変わることであり、上記の2と3に相当します。2で肉体的な原罪を清算しすることにより、サタンの血統から神の血統へと生まれ変わり、3で成長期間を歩みながらサタンと一体化している心情を内的に分立し、神の心情へと生まれ変わることです。


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人類復帰摂理における信仰基台と実体基台

堕落人間が「メシヤのための基台」を造成するためには、人間始祖が創造目的を完成するのと同じ経路をたどる必要があります。

  1. 信仰基台を造成(復帰)すること
  2. 信仰基台を造成(復帰)した基台の上で、実体基台を造成すること

信仰基台

堕落人間が創造目的を成就し得る基準を復帰するためには、まず初めに、人間始祖が立てることのできなかった「信仰基台」を蕩減復帰しなければなりません。「信仰基台」を蕩減復帰するためには、次の3つの条件(蕩減条件)が必要です。

  1. ① 信仰基台を復帰し得る中心人物を立てる
  2. ② 条件物を立てる
  3. ③ 数理的な蕩減期間を立てる(復帰する)
REASONING

讒訴条件回避の観点からみた信仰基台

信仰基台は、神のみ言を信じ、それに従順に従って、成長期間を全うすることにより立てられます。 これにより、神への信仰が確立されます。堕落した人間にとっては「私の主人は、サタンではなく、神様です」という神のみへの信仰を示す蕩減的な意味合いが付与されます。 換言すれば、「神様を親であることを認め、愛すること」です。なお、復帰摂理の初期の段階での信仰基台は、神へ「供えもの」をすること(「象徴献祭」)でした。


実体基台

実体基台は本来、「信仰基台を立てた基台の上で神と合成一体化(心情一体化)すること」でした。信仰基台を立てることさえできれば、(容易に)実体基台を立てることができ、人間は完成実体となることができたはずです。

しかし、人間始祖の堕落により、人間が完成実体となることが困難になってしまいました。その理由は、

  1. 堕落人間は、創造本性ではなく、堕落性本性を持っている
  2. 堕落人間は、神の血統ではなく、サタンの血統【原罪】となっている

です。これらを解決しない限り、人間は完成実体となることができないのです。1は堕落した人間が「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立てることにより蕩減復帰され、2はメシヤを通してのみ、血統転換(原罪を取り除くこと)ができます。

復帰摂理(神による人類救援の摂理)では、人間始祖が堕落する直前の立場にまで復帰した上で、メシヤを迎え原罪を取り除くというプロセスになっています、このため堕落した人間は「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立てて、人間始祖が堕落する直前の位置にまで蕩減復帰すると同時に、メシヤを迎え原罪を取り除くことにより、人間は一度は堕落したもの、堕落はしなかったという蕩減条件を立てることができるのです。そしてここから、神の心情を中心としてメシヤと一体となり、人間始祖が堕落したため歩み得ず取り残された成長期間を、全部全うして初めて完成実体となることができるのです。このため、実体基台を造成するためには、「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立てなければならないのです。

このように、堕落した人間は、「信仰基台」を蕩減復帰した基台の上で、「実体基台」を立てることによって成就される「メシヤのための基台」があって、初めてその上でメシヤを迎え、原罪を取り除くことができるのです。

REASONING

讒訴条件回避の観点からみた実体基台

「実体基台」は、信仰基台を造成した上で、神と直接的に繋がり、 心情一体化をなすことです。 しかし、堕落した人間は、神との繋がりが切れてしまい、 サタンとの繋がりを持ってしまいました。 神は、直接的にサタンとの繋がりを持っている人間を立てて摂理することができません。 そのため、より神に近い人間(アダムの家庭ではアベル)を仲保として実体基台を立てさせる摂理をされました。 人間(アダムの家庭ではカイン)は、神に近い人間(アベル)を通してのみ、神と繋がり、心情一体化することができるのです。そのため、実体基台は「アベル・カインの摂理」とよばれることがあります。

また、復帰摂理において、実体基台を造成することは、 蕩減復帰的な意味合いも付与されます。 それは、人間を天使長と同じ立場に立たせ、天使長と同じ心情にして、 それを克服させる摂理です。 そして、天使長と同じ過ちを繰り返さなかったということを 人間に行為で示させようとされたのです。

これが成功すれば、神はサタンの讒訴(ざんそ)条件を退け、 サタンに対し「私の子はお前と同じような行動はしなかったではないか、 人間は私の子である」と主張できるようになり、人間をサタンから奪い返すことのできる条件となるのです。


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アダムの家庭における信仰基台と実体基台

人間始祖は神の言葉を信じず、サタンの言葉を信じて、堕落してしまいました。 これを蕩減復帰するために、 神は、アダムとエバの長男カインと次男アベルに、 神のみ意にかなうように供えものをするよう命令しました。 人間に神を信じさせ、供えものを捧げさせることにより、 信仰基台(み言を信じ、従う)を立てさせようとされたのです。 長男カインと次男アベルは、2人とも神を信じて供えものをしました。 これが信仰基台が造成されました。

さらに、実体基台を立てるためには、カインがアベルを仲保として、 神と心情一体化する必要があります。 そのためには、カインはアベルを愛する必要があります。 そこで、神はカインを天使長と同じ立場に立たせるため、 アベルの供えものは、受け入れて、カインの供え物は無視されました。

見かけ上、神はカインを愛していないような立場に立たせ、 アベルを仲保として、神と心情一体化させる摂理をされたのです。 当然ながら、カインは天使長と同じように、嫉妬します。 カインはその気持ちを抑えて、見かけ上、神に近い存在、 神により愛されているアベルを愛し、 アベルを仲保とすることで実体基台(蕩減条件)が成立するのです。

天使長ルーシェルは、人間の主管下で、人間を仲保として、人間を愛し、 愛されることにより、神と心情一体化する立場にありました。 しかし、神が最も愛する人間を愛せずに、嫉妬してしまい、 それが憎しみに変って、神に反逆するようになり、 人間をそそのかし、人間を所有してしまいました。

天使長がエバをそそのかして、 神から「食べたら死ぬであろう」という木の実を食べさせ、 殺してしまった(※)ように、 天使長と同じ立場に立たされたカインは、アベルを殺害してしまいます。 これにより、アダムの家庭における救いの摂理は失敗に終わりました。

※旧約聖書では、人間が神の所有(主管)にあるのではなく、 サタンの所有(主管)になってしまったことを 象徴的に「死」と表現してします。