タダイ、ヤコブの子ユダ、レバイと呼ぶタダイ

タダイ忘れられた聖人

「Saint Jude Thaddaeus」 Jusepe de Ribera(1630~1635年製作)
聖ユダ・タダイ ホセ・デ・リベーラ
プラド美術館(Madrid, スペイン)


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タダイ

タダイの別名は、ユダ・タダイ。聖ユダとよばれています。新約聖書の「ユダの手紙」の著者とされています。

ユダ・タダイは、その名から、イスカリオテのユダ(裏切りのユダ)と間違えられるため、ローマ・カトリックでは、タダイ(聖ユダ)のための祈りが避けられていました。そのため、「忘れられた聖人」と呼ばれることもあります。
なお、タダイについては、「ヤコブの子ユダ」や「レバイと呼ぶタダイ」の記録もあり、三つの名を持っていたことになります。

教会史家のエウセビオスは、タダイは、イエスが最初の奇蹟(=水をぶどう酒に変える)を行ったカナの婚礼の新郎がタダイであると推察しています。

イエスの死後、タダイは、エデッサのアブガル王を訪れ、聖骸布(せいがいふ)を用いてアブガル王の麻痺を癒したとも伝えられています。その聖骸布は、エデッサの城壁の中に封印されたと伝えられています。

※聖骸布:イエス・キリストが磔にされて死んだ後、その遺体を包んだとされる布

タダイ(聖ユダ)は、アルメニア、故郷の小アジアのエデッサで宣教活動をし、キリスト教の布教に貢献しましたが、最後は、斧によって殺害され、殉教したと伝えられています。遺体はローマに運ばれ、現在のサンピエトロ大聖堂が建っているあたりに埋められたといわれています。


〔参考・引用〕
創元社「聖書人物記」/日本文芸社「人物でよくわかる聖書(森実与子著)」/株式会社カンゼン「聖書の人々」/wikipedia/webio「世界宗教用語大事典」