イエスの12弟子・12使徒

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ペテロの殉教

ペテロの投獄

イエスが処刑され、3日目に復活し、40日後に昇天した後、ペテロはイエスがメシヤであったことを心から信じるようになり、エルサレムで信仰と伝道に全身全霊を捧げます。信者たちの指導者となって、エルサレムの教会をまとめた後、ローマで布教活動を行いました。

ペテロがローマに渡ったとき、皇帝クラウディウス(在位:41年~54年)~皇帝ネロ(在位:54年~68年)の時代でした。ネロは、帝国史上最も悪名の高い皇帝で、魔術師シモンを寵愛していました。シモンは、しばしば、ペテロの宣教に異議を唱え、伝道活動を妨げていました。ある日、ペテロは奇跡でシモンを倒してしまいます。このことで、ペテロは、皇帝ネロの怒りを買い、パウロと共に投獄されてしまいました。

牢獄では二人の騎士(※)に見張られていました。しかし、二人ともペテロの話を聞いて、感銘を受け、キリスト教に入信します。ついには、二人の騎士は牢獄の扉をあけて、ペテロとヨハネを解放するに至りました。

※二人の騎士=プロケッススとマルティにアヌス。のちに、高官パウリヌスは騎士たちを呼びつけて、キリスト信者であることを聞くと、首をはねさせました。二人は殉教者として、旧アウレリア街道の埋葬され、その場所に教会が建てられています。


ペテロの殉教

「聖ペテロの磔刑」 Filippino Lippi

「聖ペテロの磔刑」 Filippino Lippi

牢獄から解放されたペテロは、キリスト信徒たちに、一刻も早くローマから逃れるよう懇願されます。ペテロ本人は不本意のようでしたが、信徒たちに強く懇願され、ローマから離れることを決意します。

ペテロがローマを出発して、しばらくすると、ローマに向かってイエスが歩んできました。ペテロはどちらに行かれるのか尋ねたところ、イエスは「もう一度十字架に上がるのです」と答えました。その言葉を聞いたペテロは悔い改め「それでは、わたしも、帰ってあなたとごいっしょに十字架にかけられます」と言います。するとイエスは、彼の見ている前で天に昇って行かれました。

ペテロは、殉教を告げられたのだと悟り、声をあげて泣き、ローマに引き返します。ペテロはネロの兵士たちに逮捕されます。処刑のときには、イエスと同じ十字架刑は畏れ多いとして、逆さ十字架にかかって殉教しました(紀元後64年頃)。現在、ペテロの墓の上には、サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)が建てられています。

ペテロは、十字架のところに着くと、こう言った。「キリストは、天から地にご降臨になったので、頭を上にした十字架におあがりになった。しかし、わたしは、地上から天へ行くにあたいするとされたわけだから、わたしの頭は地にむき、足は天にむくようにしてもらいたい。つまり、わたしは、主とおなじ恰好で十字架にかけられる値うちがないのだから、どうか十字架をさかさまに立て、頭が下になるようにしてほしいのです」それで、十字架をさかさにし、足を上に、手を下にむけて釘けられた。

ヤコブス・デ・ウォラギネ「黄金伝説」

サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)/バチカン市国

サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)/バチカン市国


2013年11月24日 聖ペテロの遺骨が入った箱が初公開された<br />バチカン市国 サンピエトロ広場 St Peter's Square

2013年11月24日 聖ペテロの遺骨が入った箱が初公開された
バチカン市国 サンピエトロ広場 St Peter's Square


初代ローマ教皇(ローマ法王)となったペテロ

イエスが生きていた当時は、キリスト教はまだ独自の宗教と言えるものではありませんでした。イエスの死後、ペテロたちが教えを広め、キリスト教(原始キリスト教)が成立しました。

ペテロはイエスの12人の弟子の中から、イエスによって特別に選ばれ、「天の国の鍵」を授かりました。ローマ教皇(ローマ法王)は、その後継者です。「天の国の鍵」には「イエスの教えを継ぐ者」という意味があり、ローマ教皇の紋章には、常に「天の国の鍵」が描かれています。

2013年3月に南米から初のローマ教皇にフランシスコ1世が選ばれました。教皇のパレードが行われたときには、大勢の人が声援を送り、涙ぐむ人も見られました。教皇を見るということは、聖ペテロを見るのと同じことだから感銘を受けるとのことです。ペテロはキリスト教の礎を築いた人物であり、キリスト教徒の心の礎にもなっているのです。


〔参考文献・出典・引用など〕
日本聖書教会「新約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/ヤコブス・デ・ウォラギネ「黄金伝説」/テレビ東京「137億年の物語 - キリスト教 ヨーロッパに広がる」

バチカン市国
イタリアのローマの一角にある世界最小の独立国家です。キリスト教によって生まれた宗教の国。キリスト教カトリックの総本山であるサン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ大聖堂)があります。
サン・ピエトロ大聖堂
サン・ピエトロ大聖堂は使徒ペテロの墓所を祀る聖堂。キリスト教を公認(313年/ミラノ勅令)したローマ皇帝コンスタンティヌス1世により4世紀に建設されました。キリスト教の教会建築としては世界最大級の大きさを誇っています。現在の聖堂は2代目にあたり、1626年に完成したものです。
〔参考・引用〕
wikipedia