アベルとカインの分立の摂理

カインをサタン表示体、アベルを神の表示体とし、逆転してしまっている天使長の立場と人間の立場をひっくり返す摂理

アベルとカインの分立の摂理

こちらの記事は、次の記事が前提となっています。


神とサタンが人間の主管権を主張している

※主管…主人として(主導的な立場に立って)、支配・管理すること。

人間の堕落により、この世の主管権(支配権/所有権)は神のみでなく、サタン(堕落した天使長)も主管権を持つようになってしまいました。本来、人間に対しては、創造主としての神が主管権を持っています。しかし、サタンも人類始祖と愛の関係を結んだことによる血縁関係を根拠に主管権を主張しています。愛は(それが不倫であっても)統制力、支配力を伴うのがこの世の原理です。神は、絶対なる存在であるがゆえに、自らの創造した原理を無視することはできません。サタンの主張は愛の原理に適合してしまっており、神も認めざるを得ないのです。

また、神は人間のために、被造世界(宇宙)を創造し、人間に被造世界を主管(=主人として管理・支配すること)するよう命じました。つまり、神は人間の主人であり、そして、人間が天使を含めた被造世界の主人となるのが本来の姿です。

しかし、人間の堕落により、サタン(堕落した天使)が人間や被造世界の主人となってしまいました。


人間の堕落直後から、神は、人間とサタンとの関係を絶つための摂理を進めておられます。つまり、人間の主管権を神のみにする戻す摂理(=救いの摂理)です(※)

※「救いの摂理」は、「救援の摂理」「救済の摂理」などとも表現されます。


アベルとカインの分立の摂理

「救いの摂理」は、堕落直後のアダムの時代から始められていました。しかし、神は堕落の張本人であるアダムを中心として摂理を進めることはできません。アダムに対しては、神もサタンも主管権を主張しているためです。アダムを2つに切断するわけにもいきません。そこで、神は、アダムに二人の息子を生ませ、一人はサタン側に立たせ、もう一人は神側に立てる摂理をされました。すなわち、最初に生まれた兄のカインをサタンが主管し、弟のアベルを神が主管することにより分立されたのです。

※なぜ、カインがサタン側で、アベルが神側なのか→まず、エバは天使長と愛の関係を結びました。その後、天使長が自分の夫ではないことを知って、アダムをだまして、アダムと再び愛の関係を結びました。つまり、エバは二つの愛の関係を結んだのです。そのため、最初のサタンとの愛の表示体である長子カインがサタン側に立たされたのです。また、2番めのアダムと愛の関係を結んだことは、時期尚早(成長期間)であったため、堕落の行動になりますが、それでも、サタンとの愛の関係と比べて、赦される距離が近いため、次子のアベルが神側に立つことになったとされています。


この世を動かすためには、人間を介する必要がある

この世を動かすためには(歴史を動かすためには)、神も天使長(サタン)も精神に働きかけ、人間を介する必要があります。つまり、この世を良くするのも、悪くするのも人間であり、人間を介さずして、神の国は実現できないのです。

摂理上、神側に分立された人間は、神の表示体(=本来の人間の表示体)であり、サタン側に分立された人間はサタンの表示体となるのです。


主管性再転倒の摂理

堕落の結果、本来、人間が主管すべき天使は、人間を主管する立場になりました。つまり、本来の状態と比べると(堕落した)天使と人間の位置が逆転してしまっている(主管性が転倒してしまっている)のです。神のアベルとカインの分立の摂理は、これを元に戻すため、すなわち、主管性を再転倒するためにになされたものです。具体的には次のとおりです。

  1. カインをサタンの表示体(=堕落した天使の表示体)として、アベルを神の表示体(本来の人間の表示体)とする。
  2. カインがアベルに屈服することにより、アベルがカインを主管する立場となる。
  3. これにより、神→人間(アベル)→天使(カイン)→被造世界(万物)という本来の状態に戻った形となる。

この世を動かすためには、人間を介する必要があるので、カイン(サタンの表示体)がアベル(本来の人間の表示体)に屈服すれば、サタン(堕落した天使)は何もすることができなくなるのです。



※アベルとカインの摂理は、カインがアベルを殺害することにより失敗に終わります。その後、ノアの時代にも、ノアとハムを中心として、摂理が展開されましたが、ハムの犯罪により失敗。アブラハムを経て、ヤコブとエソウのときに、人類史上初めて成就します。そして、摂理は家庭的なレベルから、民族的なレベル、さらに国家的、世界的なレベルへと展開されます。


〔参考・引用〕
光言社「み言に学ぶ統一原理(後編)」