エサウとヤコブの誕生

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エサウとヤコブの誕生

リベカの妊娠

イサクの妻リベカはなかなか身籠ることはありませんでした。イサクは、子を授かることができるよう、根気強く、神ヤハウェに祈り続けました。そして、待つこと20年。ようやくリベカは妊娠しました。

※同じようにイサクの父であるアブラハムの最愛の妻サラは、なかなか身籠ることなく、90歳(アブラハムは100歳)になってようやくイサクを産みました。

しかし、母リベカの胎内では、身籠った子が激しくぶつかり合うようにもがいたので、リベカは非常に苦しみました。耐えかねたリベカは神ヤハウェに尋ねます。

すると神は、リベカには双子の命が宿っており、その子孫は、2つの国民の父祖になる。将来、両国の民は衝突するが、兄(エサウ)の子孫の国が弟(ヤコブ)の子孫の国に仕えるようになることを告げました。それを聞いたリベカは得心しました。

胎内の二人の子供/エサウとヤコブ

胎内の二人の子供/エサウとヤコブ

イサクは、妻に子供ができなかったので、妻のためにヤハウェに祈った。ヤハウェはイサクの願いを聞き入れたので、妻リベカは身ごもった。ところが、胎内で子供たちが押し合うので、リベカは、「こんなことでは、わたしはどうなるのかしら」と言って、ヤハウェの御心を尋ねるために出かけた。ヤハウェは彼女に言われた。「二つの国民があなたの胎内に宿っており、二つの民があなたの体内から分かれ出る。一つの民がもう一つの民より強くなり、兄が弟に仕えるようになるであろう。」

旧約聖書/創世記25章21節~23節

※兄エサウの子孫はエドム人(現在のエジプト人)と言われています。エドムはアカバ湾から死海にかけての地名。当時はイスラエル(ヤコブの子孫が建国)と国境を接し、長年にわたって争いましたが、ダビデ王の代になってイスラエルに朝貢し、イスラエルの属国になったとされています。


エサウとヤコブの誕生

その後、リベカは、神のお告げのとおり、双子の兄弟を出産します。兄は全身が赤い毛で覆われておりエサウ(毛)と名付けられ、弟は、兄エサウのかかとをつかんだ状態で生まれたので、ヤコブ(踵/かかと)と名付けられました。

エサウとヤコブの誕生

エサウとヤコブの誕生

月が満ちて出産の時が来ると、胎内にはまさしく双子がいた。先に出てきた子は赤くて、全身が毛皮の衣のようであったので、エサウと名付けた。その後で弟が出てきたが、その手がエサウのかかと(アケブ)をつかんでいたので、ヤコブと名付けた。リベカが二人を産んだとき、イサクは六十歳であった

旧約聖書/創世記25章24節~26節
©日本聖書協会/旧約聖書 新共同訳

※エソウの名は、毛衣の「毛(セアル)」から名付けられました。エソウとその子孫が住んだ死海の南方の地は「セイル」と記録されています。

※ヤコブは、「踵(かかと)/アケブ」から名付けられました。


善悪分立の摂理 - 長子と次子の分立

旧約聖書では、神に選ばれた人物の「次子」は神に愛され、「長子」は憎まれる立場になっていることが数多く記録されています。

その子供たちがまだ生まれもせず、善いことも悪いこともしていないのに、「兄は弟に仕えるであろう」とリベカに告げられました。それは、自由な選びによる神の計画が人の行いにはよらず、お召しになる方によって進められるためでした。
「わたしはヤコブを愛し、エサウを憎んだ」と書いてあるとおりです。では、どういうことになるのか。神に不義があるのか。決してそうではない。

新約聖書/ローマの信徒への手紙9章11節~14節
©日本聖書協会/新約聖書 新共同訳

神が長子が本当に憎いわけではなく、人間を分立した上で、人類救済の摂理を進めざるを得ない状況にあるからとされています。

すなわち、人類の始祖が堕落することにより、人間は汚れてしまいました。神は絶対的な方でおられるので、汚れたもの、矛盾したものには対応できません。そこで、人間を象徴的に分立し、聖別して、善を象徴する側の次子にアプローチすることにより、人類救済の摂理を進めるためとされています。そして、長子は次子に対して嫉妬や恨みを抱くような立場になります。カインとアベルのときには、殺人事件にまで発展してしまいます。エサウとヤコブのときも、ヤコブは殺されそうになりますが、後に和解します。エサウとヤコブの和解は、旧約聖書に記録されている大きな成功の一つとされています。

なお、聖書に見られる長子と次子の分立の摂理はとしては、次の例が挙げられます。

●カインとアベル ---------------------------------------------

神は、アダムの次子であるアベルの供え物は受けられ、長子であるカインの供え物は受けられませんでした。

時を経てのこと、カインは農作物をヤハウェのもとに供え物として持って来た。アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。ヤハウェはアベルとその供え物に目を留められたが、カインとその供え物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。ヤハウェはカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。もしお前が正しいのなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪が戸口で待ち伏せており、お前を求める。しかし、お前は罪の支配者とならねばならないのだ。」

旧約聖書/創世記4章3節~7節

●イシマエルとイサク ---------------------------------------------

アブラハムには、長子イシマエル(側女ハガルの子)と腹違いの次子イサク(本妻サラの子)がいましたが、イサクが誕生すると、イシマエルは母ハガルとともに、アブラハムの家を追い出されます。

神はアブラハムに言われた。「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。すべてサラが言うことに聞き従いなさい。あなたの子孫はイサクによって伝えられる。しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ。」アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。

旧約聖書/創世記21章12節~14節

●エソウとヤコブ ---------------------------------------------

上記のとおり、イサクの長子エソウと次子ヤコブは生まれる前から「兄は弟に使えるだろう」と神に告げられました。その後、長子の特権を次子ヤコブに奪われ、長子エソウに授けられるべき祝福もヤコブに奪われます。

エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」ところが、上の息子エサウのこの言葉が母リベカの耳に入った。彼女は人をやって、下の息子のヤコブを呼び寄せて言った。「大変です。エサウ兄さんがお前を殺して恨みを晴らそうとしています。わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。

旧約聖書/創世記27章41節~43節
©日本聖書協会/旧約聖書 新共同訳

●エフライムとマナセ ---------------------------------------------

ヤコブが彼の孫マナセ(長子)とエフライム(次子)を同時に祝福するときに、次子エフライムを優先的に祝福するために手を交差して祝福しました。

ヨセフは二人の息子のうち、エフライムを自分の右手でイスラエルの左手に向かわせ、マナセを自分の左手でイスラエルの右手に向かわせ、二人を近寄らせた。イスラエルは右手を伸ばして、弟であるエフライムの頭の上に置き、左手をマナセの頭の上に置いた。つまり、マナセが長男であるのに、彼は両手を交差して置いたのである。
ヨセフは、父が右手をエフライムの頭の上に置いているのを見て、不満に思い、父の手を取ってエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。ヨセフは父に言った。「父上、そうではありません。これが長男ですから、右手をこれの頭の上に置いてください。」ところが、父はそれを拒んで言った。「いや、分かっている。わたしの子よ、わたしには分かっている。この子も一つの民となり、大きくなるであろう。しかし、弟の方が彼よりも大きくなり、その子孫は国々に満ちるものとなる。」

旧約聖書/創世記48章13節~14節/17節~19節
©日本聖書協会/旧約聖書 新共同訳



〔参考・引用〕
日本聖書教会「旧約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/日本聖書教会「新約聖書(新共同訳/口語訳)」/新日本聖書刊行会「新改訳聖書第三版」/wikipedia